プロット2012-02-14 このブログについて 2012年02月14日 [つづきはこちら](記事右下)から前ブログから引き継いだ設定を元に作った19世紀版のプロットがご覧にいただけます。 1 △深夜、酒場の裏路地ナレーション「19世紀ロンドン、***(地名)」売春女性がバーから出てくる。仲間の売春女性とバーの従業員「(叫び)」被害女性がデコルテ部分の衣服が乱れた状態で、右乳房を露出して、壁に持たれて死んでいる。首を刃物で切られているが血痕がなく綺麗な状態。2 △翌朝、同現場スコットランド・ヤードが現場を調査している。警官「けい動脈を切られて死体はすっかり血液を抜かれています」警部「ウームムまたヤツの仕業か…」メグは、群がる記者や野次馬をかき分けて現場写真を取っている。メグ「とれたかな」(3ページのメクリゴマ)メグ「あの、警部ちょっとお話を」メグが警部に話しかけようとすると、他紙の記者に押しのけられた。他紙の記者「警部!また”***(地名)吸血鬼”の仕業でしょうか?」他紙の記者「警部!”吸血鬼”捜査はどこまで進んでいるのですか?」他紙の記者「警部!いまだ連続殺人犯を野放しにしていることについて一言!」警部「えーい、今はなにもない!捜査の邪魔すんな!」他紙の記者と一緒に唾が飛ぶほど怒られてシュンとするメグ。メグ「…かえろう」メグが完全に背を向けた背後、他紙の記者他紙の記者「クソッ鬼警部め…目撃証言がないかこのあたりで聞きこむか」「はい」3 △翌日、***新聞社(主人公の所属。実在しない)。上司、エイリーのデスクを挟み向き合っている上司とメグ。上司は不機嫌そうに***(ロンドン・タイムズなど、実在する)の今朝の朝刊を投げてよこす。エイリー「今朝のロンドン・タイムズだが…例の吸血鬼の件で、事件前夜怪しい男が目撃されたそうだ」メグ「連続殺人犯、捕まったんですか」エイリー「何人もの証言がとれて相当自信満々みたいだ。完全にすっぱぬかれたな」エイリー「なぜ調査を中断した?」メグ「け、警部に追い返されて…」上司は呆れる。エイリー「おまえの調査はいつもツッコミが足りないんだよなー。根がバカ正直っつーか素直っつーか」メグ「す、すみません」エイリー「…じつは近々、人事が動きそうなんだ」間。メグ「わ、私が***(地名)プレス(子会社の小さな出版社で、グレーター・ロンドンから少し離れた州)に転勤…??」エイリー「お前の親父さんには散々世話になったからなんとかお前がここにいられるように上に頼んだんだが…。記者として使えないやつは、組織として置いておけないんだ。異動の条件を呑めないなら、辞めるようにと」メグ、ひどくショックを受ける。メグ「わ、私には…ロンドンで記者を続けねばならない理由があります」エイリー「それは分かってる…だが、俺個人ではもうかばい切れないんだ。」メグ「(言葉に詰まる)」レイ「ひとつ、左遷を回避できる方法がありますよ」レイが話に口を挟んでくる。メグ「バトラー先輩?」レイ「他紙は”怪しい男がうろついていた”ことを報じているだけでまだ”***吸血鬼”の正体がわかったわけじゃないです。うちが警察や他紙より早くそいつの尻尾を掴むことが出来れば女王陛下の表彰モノ。そうすれば上も考えなおすでしょう」エイリー「捕まえるって言ったってなあ…」メグ「やらせてください。少しでも可能性があるなら」エイリー「…時間の猶予はないぞ」4 △新聞社のエントランス(外)メグ「あの、先輩。ありがとうございます。協力してくれて」レイは優しげに微笑む。ロザリオをつけている。レイ「かわいい後輩だもの、当然だよ」メグは少し顔をあからめる。レイ「ところで、さっきキャップと話していた”記者を続けたい理由”ってなに?」メグ、少しの間を経て話し始める。メグ「わたし、失踪した父の手がかりを探すために記者になったんです」レイ「お父さんが?」メグ「父は、うちの社の遊軍記者だったんですけど…5年前に取材に出たきり行方不明で。毎日待ってたのに、手紙もなくて…。面倒を見てくれていた祖母もそのうち亡くなって。それでエイリーさんにお願いして新聞社に潜り込んだんです。」メグ「少し前までは毎日書庫で当時の取材メモをあさってました…。でも、不思議とまったく情報が残ってなくて。だから、新しい情報が入るのを待つしかないんです…新聞社なら毎日ニュースが入ってくるし」レイ「メグのお父さんがうちの記者だったなんて驚いたな。5年前というと…僕が入社する前か」メグは万年筆を取り出し、見てほほえむ。メグ「インクが入ってなくて書けないけど…。これは父がくれた形見なんです。「ペンは剣より強し」っていつも言っていました。」レイ「報道使命に燃えていたんだね…。」メグ「先輩もそうじゃないんですか?取材も文章も上手いし…天職って感じがしますよね」レイ「僕の理由はただ生きるための日銭稼ぎさ…家が、とても貧しかったんだ。正直、ホワイトカラーならなんでもよかった。たまたま新聞社で拾ってもらえてね。記者は高級だからわりと満足してる。」レイ「けどホントは大富豪になりたいよ新聞紙面に載るようなね」レイ「さあ、切り裂き吸血鬼の正体を暴こう。金一封が出たら社会部のみんなに大盤振る舞いしてやろう!」レイは魅力的な微笑を浮かべる。メグ「はい!」5 △袋小路で罠を仕掛けるメグとレイ(1コマ)6 △事件現場付近の路地レイ「いいかメグ。もしも怪しい男に遭遇したら、さっきの袋小路に誘導するんだ。仕掛けた罠が作動して犯人を捕まえる崖っぷちの僕達は能動的に動いてやつを捕まえるしかない」メグ「でも先輩、***吸血鬼って…たんに猟奇殺人者なんでしょうか?もしかして本当の吸血鬼で、罠にかけても霞のように消えてしまったりするかも…」レイ「おいおい強引な推理だな…」メグ「さすがに飛躍しすぎですけど、血を全て抜く目的も、コロシの手口もわからないんです」レイ「うーん、たしかにメグぐらいの若い女性なら血液総量は5、6リットル。そんな大量の血液をどうする?輸血用に売ることは考えられるけど、死体ごと運んだほうが断然効率的だし、死体を解剖医に横流しすればもっと儲かる。なぜ首を切って血だけを抜いて殺すのか?意味が分からないよね」メグ「そうですよね…何のために…うーん…」メグはふと路地の先に目をやる。怪しい男がうろついている。7 △事件現場の路地メグ「んあっ!先輩!先輩!いました怪しい男です!」興奮するメグ怪しい男「!!」怪しい男は気づいて逃走した。レイ「そ、そんな大声挙げるやつがあるか…とにかく追うぞっ」メグ「は、はい!!」メグとレイは走りだす。レイ「メグ、そっちに回れ!」レイの指示で男を追い詰めるふたり。8 △袋小路。釣り網罠にかかり吊り下げられる男。メグのほうが、みごとに男に追いついた。メグ「追い詰めたわ!あなたが連続殺人犯ね」ウォルター「殺人犯?突然追いかけてきたと思えば、な、何を言っているんだ……」ウォルターは自らマントをのフードを取る。気弱そう。メグ「なんかイメージと違う殺人鬼ね…いやいや、見た目に惑わされちゃだめだわ」ウォルター「ちょっと待ってよ!何を勘違いしているか知らないけどおいらは殺人鬼なんかじゃない!名前はウォルター。***(グレーター・ロンドン以外の州)の***教会(実在しない)の修道僧だよ!教会の宝、吸血鬼のロザリオを盗んだ犯人を探しているんだ」メグ「修道僧?吸血鬼のロザリオ…?」ウォルター「吸血鬼のロザリオは呪われている。14世紀の司祭が、当時猛威を振るっていた吸血鬼を封印したものなんだ。身につけた者は嗜血癖を催すんだ。血が飲みたくて飲みたくて仕方がなくなる。血を吸うごとに力がみなぎって、やがて完全に吸血鬼と化して、人を殺して血を残らずすするような吸血鬼になってしまうんだ。厳重に保管していたけど5年くらい前に強盗に盗まれてしまって、ずっと探していたんだ。おいら、見張りの当番だったのに守りきれなくて」メグ「吸血鬼と化すですって…」モノローグ「にわかに信じがたい話だけど…彼の言っている窃盗犯と***吸血鬼が同一犯だと考えれば****吸血鬼の殺しの目的も手口も合点が行く」メグ「とにかく警察を呼ぶ。取り調べで証言してもらうわ」ウォルター「ちょっと待ってよ!それじゃ手遅れになっちゃうよ!おいらこの街で犯人ににた男を見たんだ!」メグ「ウォルターさん、あなた、その強盗犯の顔を知っているの?」ウォルター「見たよ。あの日は月明かりがキレイな晩だったからハッキリ見た。犯人の男は細身で背が高くてブロンドで目の下にほくろがあって…」レイの声「それは、もしかしてこんな顔だった?」レイは、不気味な表情で立っていた。9 △同袋小路。メグの背後にはレイが、不気味に静かな表情で立っているメグ「え?」ウォルター「え?」10 △同袋小路。レイは、手早くメグを拘束する。左手はナイフを携えている。ウォルター「お、おまえは確かにあの時の…強盗…」メグ「そして連続殺人事件の真犯人、***吸血鬼…」レイ「気づいてしまったの?メグ」レイは不気味に微笑んだ。レイ「けさ、”不審な男の目撃証言”のニュースがあったときは驚いたよ。昨晩の女の血を吸ったときアシがついたのかと思って。けどそれにしては何か妙だったから…それで同行させてもらったんだよ、メグ。まさか怪しい男というのは君のことだったとはね、あのときの修道僧くん。」レイが笑う。いままで微笑んでいたので見えなかった尖った犬歯が見える。ウォルター「きさま、吸血鬼化がかなり進んでいるな」メグ「ど、どういうことなんですか?先輩が…何故…」レイ「いっただろ、貧しかったって。むかしの僕は盗むことでその日の命を保ってた。ひどい生活だった…だけど、このロザリオを手に入れてから全てが変わった!人の血を飲むごとに超越的な力がみなぎってくるんだ」メグ「ぐっ」モノローグ「なんて強い力」メグは締め上げられて、乱暴にキスを受ける。口腔を傷つけられて少し多めの血が出た。血を舐めたレイの鼓動は締め上げたメグに分かるほど高鳴っている。息は荒く、興奮している。レイは勃起しながらメグの首筋を舐めた。目はぎらぎらと光っている。レイ「ああー…美味しいー…血を飲むとね、力がみなぎってくるだけじゃない。すごく興奮して、気持ちいいんだ。だから次々と殺してしまう。血を飲まねば居られないんだ」レイ「さてメグ、実はけさ、君の話を聞いて俄然君がほしくなった。だって…僕が初めて飲んだのは君のお父さんの血だったからね」モノローグ「!!??」レイは、以外な真実を明かした。レイ「君の父である記者を殺したのは僕だ。ま、君が彼の娘だとは今日まで知らなかったけどね…」メグ「あなたが…私の父を…!?」レイ「ロザリオを手に入れたばかりだった頃***社の記者が周辺を嗅ぎまわっていたがあった。貧民街で頻発する窃盗の現状を調査をしていたようだった。僕はといえば、飲血の欲求を催していた。それまでも牛を殺してチビリチビリと飲んでいたが…初めて人を殺した。インタビューをしたいといって近づいてきた彼を人気のない場所に誘い出し…油断させて後ろから殴って殺して…ノドを裂いてコップに血を受けて飲んだ。初めて飲んだ血の味と興奮は今でも忘れられない、すばらしかった」メグ「あなたが…父を!」レイ「記者になったのも偶然じゃない。彼の身分証には新聞社の住所が書いてあった。彼が行方不明となれば、欠員補充の募集がかかるとおもったんだ。僕は貧しかったけど読み書きは堪能だったし…貧乏な生活からも脱出した」レイ「でも、人並みのものを手に入れたんじゃ僕は全然満足できない!僕はもっともっと血が欲しい!はやく完全な吸血鬼になって、人間のつまらない常識を超越した存在になるんだ」メグ「先輩、尊敬していたのに」レイ「さあ、ムダ話はここまでにしよう。メグ、君の血を僕にちょうだい」レイはメグの首筋にそっとナイフを当てた。ウォルター「吸血鬼の活動を止めるには、木の杭のような尖ったものを旨に打ち込むしかない…万事休すだ」メグ「杭のような…」11 △同袋小路そのとき、メグはとっさに父親の形見の万年筆でレイを刺した。万年筆はインクの部分が仕込み刀になっており、吸血鬼の心臓を貫くには持って来いだった。レイはその場に崩れ落ちた。メグ「この万年筆、書けないんです。インクカートリッジの部分が仕込み刀になっていて。」メグ「「ペンは剣より強し」父の言葉には続きがあって…「とは言っても、お前は可愛い娘だから、もし男に襲われたらこれで刺せ」って」12 △輪転が回る。ナレーション「レイ・バトラーは瀕死の状態で逮捕され、”稀代の「吸血鬼」”として各紙の見出しを飾った。」ナレーション「怪奇や猟奇的事件が大好きなロンドン市民は、恐怖と好奇に駆り立てられ争うように新聞を購入した」ナレーション「***紙は他紙と異なり謝罪文を掲載した。社内は上を下への大騒ぎとなった。」13 △新聞社エイリーのデスクを挟んで、向かい合っているメグと上司。メグは切れた口元にガーゼを貼っている。◆そして、意外な結末を迎える。エイリー「たいへんなことになったな…。ただ、バトラーの件の火消しで上はもうてんてこまいっていうか…お前の異動の話しもうやむやになくなったよ」メグ「そうですか」エイリー「ま、スコットランド・ヤードが親父さんの遺体を確認したし…もうお前には続ける理由がないと思うけどな…。これからどうするか、もう決めたのか。別の職を考えるならいろいろ伝をあたってみるが…」メグ「それなんですけど、私、まだ記者を続けます。」エイリー「えっ?」メグ「新しく記者としてやりたい取材ができたんです。これ…」メグは古びたノートを上司に手渡した。メグ「レイ・バトラーの手記です。」ナレーション「レイは***地方の農村で生まれた。口減らしによって山中に捨てられ、商人アダム・バトラーに拾われた。カネにがめついアダムは幼いレイを虐待し、スラムで男娼して客をとらせた。アダムはほとんど全てにおいてレイを搾取したが、たった一つ、レイに読み書きの教養を与えた。レイはある日、アダムが読み捨てた新聞の1記事によって華やかな特権階級の世界を知った。自分が酷く惨めに思え、インクが滲むほど涙を零した」手記には、滲んだ新聞の切り抜きが挟まっていた。メグ「この国は急速に近代化を遂げていますが、地方にはまだまだ貧困に喘いでいる農村がたくさんあります。現状を取材して民衆に問いたいんです。キャップ、私を***へ行かせてもらえませんか」エイリー「***支局?!ロンドンよりかなり厳しいぞ。覚悟はあるのか」メグ「はい」エイリー「…わかった」ナレーション「ウォルターは、ロザリオを取り戻し、教会に戻っていった。」ナレーション「レイは5年間で数十件にのぼる犯行をあっさりと自白した。裁判は異例のスピードで進み、絞首刑が言い渡された。しかし彼は刑が執行される前に獄中で舌を噛み千切って自殺した。募る飲血の欲求に耐え切れず、死の直前に自らの血液をすすったようである」14 △出発の朝メグ、馬車に乗る。ナレーション「メグ・レッドマン記者の名前は歴史には残らぬものの」*******(未定) PR